ゆっくりと伝わっていく

 人間の心の弱さや負の感情を糧にして活動する「病魔」に罹る中学生と、それを喰らい尽くす力を持つ養護教諭の交流を描く物語。1巻は、外見がホラーなため生徒に避けられる養護教諭、派出須逸人が、病魔に罹った生徒を助けていくことにより、少しずつ周囲に生徒が集まっていく過程となっている。
 ヒーロー物はどちらかというと助ける側の視点で描かれることが多いと思う。しかしこれは、病魔に罹る過程や生徒たちの心情が中心になっていて、引き起こされる事件は派手なのだけれど、その根底にある原因は誰でも経験したことがあるような心理なので、身近に感じられるかもしれない。だがその分、一気にではなく、ジワジワと面白さが積み重なっていく感じなので、ボクの"面白い"の閾値を超えるまでには結構時間がかかった。

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藍本松作品の書評