起死回生の一手

 2巻の真犯人ともいうべき人物の姿から我が身を省みて阿部真理亜への態度を冷たくした遥海慧。突然の彼の変貌に混乱した真理亜は、遥海家を出て行くことを決心する。ところが、折悪しく、真理亜を小布院の関係者と勘違いした誘拐犯と遭遇、誘拐されてしまう。さらに加えて、いったいいつつけられたのか、真理亜の首には、装着した人間の成長を装着時間の自乗倍で巻き戻してしまうクロノグラフ・リグレストがあった。
 真理亜消滅まで48時間という時間制限の中、誘拐犯の潜伏場所捜索&リグレストの鍵を持つ人物捜索という2つのタスクをこなさなければならない。刻々と過ぎ行く時間。例え真理亜の居場所が分かっても、鍵がなければリグレストをはずすことができず、真理亜は消滅してしまう。起死回生の一手はあるのか?

 三田ルチアと慧の祖父が知己だったという事実が分かったり、3巻まで積み重ねてきた設定が生きてきたりして、物語の世界が広がっている感じがする。それだけに、未だに続編が出ないのは残念でならない。

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久住四季作品の書評