大層凝っている

 小さな国の小さな街に生きる美しいが不道徳な人の一族を5代くらい追った物語になっている。ページ数を見れば分かるように分量は少ないが、紙質や挿画や装丁などには大層凝っている。

 背徳的でいて何となく美しい物語だな、とは思うが、内容についての論評は差し置いて、この本を読みながら思ったのは、電子書籍が普及した場合に、紙の書籍が進む方向性についてだ。
 この本は、そういった時代にあって、紙の書籍が生き残るための、付加価値追求実験の一つなのかもしれない。だからこの価格は、そういった時代に備えるための投資を上乗せしてあるのだろう。

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桜庭一樹作品の書評