バランスがいま一つと感じた

 今回は分量のバランスがいま一つだったのではないかと思う。第一話「呪われたゲーム」が約6割、第二話「ハクアの休日」と第三話「レイニー・ブルー・ストーリー」が約2割ずつ。しかも、最大の紙幅を取っていた第一話は、本物の悪霊が仕込まれたギャルゲーと、その悪霊を祓いに来たドジっ娘巫女お姉さんのエピソードだったのだが、桂馬が一人で呪いのゲームを攻略しつつ、並行して巫女の阿倉川紫埜とエルシィが悪霊と対峙するという展開で、肝心の桂馬と攻略対象者との間のコミュニケーションが不足しがちだったように思う。駆け魂狩りはどちらかというとおまけというか。
 第二話はいつも通りのハクアだし、ちょっと遊びに行くだけなので短くても良かったのだが、第三話は分量が少なすぎて、展開が急すぎた気がする。

 1冊で3度おいしいというのも良いかもしれないけれど、小説が持つ情報量の多さという特性を生かして、漫画ではなかなか難しい、深く掘り下げるという方向に行ってみるのも良いのではないかと思う。

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有沢まみず作品の書評