移り行く時間の中で変化しないことは狂気とも呼べる

 小学生の頃に出会い付き合い始めた舞原星乃叶と逢坂柚希、そして彼の幼なじみである美蔵紗雪。しかしある日、星乃叶は家庭の事情で引越しをすることになる。星乃叶は柚希に浮気しないことを誓わせ、手紙で連絡を取り合う約束をして旅立っていくのだが…。
 一方から見た遠距離恋愛の物語が、他方から見れば悲劇のような物語に変わっていく。全体としてはクリスタルガラスのように透明感がある物語なのだけれど、そこに織り込まれた硬く揺るがない想いは狂気と呼べるだろう。しかし、読み終わって嫌な感じはしない。
 多分ジャンルでいうと、純愛というヤツなんだろうな。

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綾崎隼作品の書評