本音で語られる言葉の威力

 前巻と同じく文研部の5人が、今度は「欲望解放」という意識・無意識に抱いている欲望が表出してしまう現象に巻き込まれる。

 普段はあーしたい、こーしたいと思っていても、社会常識や理性によるフィルタがかかって実際にやらないこと、いわないことがいっぱいある。もしそのフィルタがなくなったら?そんな状況に陥った5人。本音だけで語ると言えば聞こえは良いけれど、全力で放たれるマイナスの本音は、それが本音だと言うことが確実な時には、致命傷を与える凶器になる。
 しかし、もしプラスで語られる言葉がまぎれもない本音であることが確かならどうだろう。それは壊れかけたものにとって、これ以上ない福音として響くかもしれない。

 前巻は八重樫太一が明確な主人公だったけれど、今回はかなり役割分担がなされていると思う。

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庵田定夏作品の書評