ファミ通文庫

これで本編のフォローはおしまい!

菜乃が読んだ銀河鉄道の夜のお話、遠子が在学中のエピソード、芥川一詩と美羽のその後、井上舞花中学生の初恋、琴吹ななせと臣志朗の始まりの物語など、13本の短編が収録されています。 今回の全体の印象としては、井上心葉に対してどれほど遠子が心を配って…

最後のステージへ立つ決意

自らが行動したことで多くの人間が不幸になったと繭墨あさとに断罪された小田切勤は、茫然自失の状態で自室に籠ってしまう。繭墨あざかの手も振り払った彼の前に現れたのは、彼が唯一助け出すことに成功した水無瀬家当主の白雪だった。彼の恩義に報いるため…

構成よりエピソードの面白さに重点を置いた短編集

穂高結衣がまだ自己完結型の特発性大脳覚醒病だった頃の、仲西景、青井晴、森崎進一を巻き込んだ空想病の発作完結に向けたドタバタ短中編3本と、メアリー・ポートマンが持ってきた空想世界のパラドックスの薬がもたらす景ロリコン疑惑短編で構成されている。…

目指すべき先を探して

FBonline掲載の短編3本と書き下ろし2本が掲載されており、後者のうち1本は本編完結後のエピソードになっている。 大晦日から元旦にかけての初詣を兼ねた千段の参道レースを描く「年越しの階段」、三島真琴視点でバレンタインのエピソードを描く「恋愛とチ…

過去の上に築かれる現在、いまここにある自分

人格入れ替り、感情暴走と来て、今度は時間退行現象がメンバーを襲う。外見と共に精神も幼い自分になったり元に戻ったりする4人に対し、何故か変わらないままの太一。 冬休み中であることを利用して、何とか周囲にばれない様に廃ビルで退行現象をやり過ごす…

噂をきっかけにした新たな展開

吉井玲の提案で明久の家に居候することになった姫路瑞希。だがそんな幸せな状況を異端審問会が許すはずがない。一応は同居を隠そうとはするものの、明久も瑞希も脇が甘いので、会話の端々に事実が匂わされて発覚してしまう。 異端審問によりFクラスが分裂状…

さよならの儀式

長編「“文学少女”見習いの、寂寞。」、掌編「ある日のななせ」、短編「“文学少女”見習いの、卒業。」を収録。 「寂寞」は何故か井上心葉に急接近してきた有人の冬柴瞳の行動の理由を、日坂菜乃が追求して行くお話。その結果として、かつて自殺した一人の少年…

噂をきっかけにした新たな展開

吉井玲の提案で明久の家に居候することになった姫路瑞希。だがそんな幸せな状況を異端審問会が許すはずがない。一応は同居を隠そうとはするものの、明久も瑞希も脇が甘いので、会話の端々に事実が匂わされて発覚してしまう。 異端審問によりFクラスが分裂状…

絶えず書き換えられていく世界

クリスマスを間近に控えた頃、うだるような暑さの中で、仲西景はアメリカの空想病研究所長メアリー・ポートマン(11歳)と出会い、子ども扱いすることで激怒させてしまう。 穂高結衣へのクリスマスプレゼントを選びに青井晴と表参道に出かけたり、ネットを通…

ありもしない希望にすがりたい気持ち

無聊を託つ繭墨あざかと小田切勤の下に、他の異能力者から仕事の依頼が舞い込んでくる。自分たちの手には負えないと泣きついて来たのは、日傘と名乗る青年と、雁屋灯という影使いの少女。 彼らの導くまま赴いた先には、白い肉の化物と、無くしたものを何とし…

現実の厳しさを語る物語

声優になるために専門学校に通い劇団に所属しようとする少女沙奈歌と、ハッカーを名乗り他人とのかかわりを持ちたがらない少年広野。普通なら交わらなそうな二人の人生が、同人誌即売会のあるブースで接触する。 一見するときちんと夢に向かって生きている少…

本音で語られる言葉の威力

前巻と同じく文研部の5人が、今度は「欲望解放」という意識・無意識に抱いている欲望が表出してしまう現象に巻き込まれる。 普段はあーしたい、こーしたいと思っていても、社会常識や理性によるフィルタがかかって実際にやらないこと、いわないことがいっぱ…

いかにもファミ通文庫らしい

文研部に所属する、八重樫太一、永瀬伊織、稲葉姫子、桐山唯、青木義文の5人は、ある日突然、「ふうせんかずら」を名乗る正体不明の存在から、しばらくの間、アトランダムに人格入れ替わりが起きるという事実を告げられる。 目的は不明、入れ替わり終了条件…

後味爽やか

書き下ろしが半分以上あって、短編集の雰囲気よりも本編の後日談の雰囲気が強め。事件から7年くらい後の毬谷敬一とオペラ歌手を志す高校生新田晴音のエピソードや、出会いから10年くらい経った竹田千愛と櫻井流人を、彼女の受け持ちの生徒たちを絡めて描…

本当の想いは何ですか

1巻はとても面白かったけれど、続編は色々難しいかなと思っていたのです。なぜなら、例えて言うならば、大ボスを倒した後で中ボスが偉そうに登場しても興ざめだろ、と思っていたから。かといって、どんどんエスカレーションさせていったら、とても収拾がつ…

繭墨との天秤は釣り合うか?

またしても繭墨あざかを狙う者が現れる。襲撃者の一族の当主水無瀬白雪は、繭墨の身を守ることを申し出るが、その背景に何があるかは黙して語らない。まあ、白扇に墨蹟を表すことで意思疎通をする人なので、どちらにしろしゃべらないけどね。 白雪は繭墨の黒…

四話四様の色調

男子同士のちょっとした賭けトランプが、いつの間にか霧島&姫路を相手とする尊厳をかけた闘いに変化していく「僕とダウトと男の尊厳」。学園長の実験により、本音をダダ漏れさせるようになった召喚獣を巡る駆け引きを描く「僕とホンネと召喚獣」。ついに姫…

没収品を賭けた野球大会

体育祭の一種目として開催される、召喚獣を使った教師との交流野球大会。勝利の暁に返還される、持ち物検査での没収品を取り戻すため気合が入るFクラスの面々。だが、いつもならあらゆる手を尽くして勝利をもぎ取ろうとするはずの雄二が若干精彩を欠いていて…

動き出した時間

前作と同様に日坂菜乃が関わる事件が起きるのだけれど、前作に比べると外伝としての意味合いが強くなっているかも知れない。前作は日坂菜乃を中心においた新作という印象が強かったけれど、今回は井上心葉はもちろんのこと、琴吹ななせや竹田千愛などの、本…

森ちゃんのあの行動に触れずにはいられないだろう

琴吹ななせの側にいつもいた、森ちゃんと反町くんの初々しいエピソード集でもあるし、本編で突き放された感があるななせを支えてくれる人はちゃんといたんだよ、というお話でもある。そして、知らなくても大丈夫だけれど、知ればもっと本編の内容が深まる追…

玲ねえさんが絡むと限度というものがなくなる気がする

木下姉弟入れ替わり大作戦、海辺とお祭りでの騒動、雄二と翔子のはじめて物語が収録された短編集。はじめのふたつでは、試召戦争から離れ、キャラクターのカップリングが生み出す妙が楽しめます。ある意味いつもどおり。海辺といえばアレ、お祭りといえばコ…

新章開始

文学少女シリーズの外伝となっているけれど、本編の続編と言われてもそんなに違和感がない。 そもそも外伝の定義が何かによるが、完結した物語の"中"からこぼれ落ちた話を拾うのを外伝と呼ぶならば、この作品はそれに当たらないと思う。なぜならこれは、日坂…