日常にあこがれる少女たち

 メンバーは男子が1人に女子が2人。ゲーム同好会の日常を描くと見せかけて、登場人物は全員が異能持ちで、女子メンバーは武器を振り回して必殺技名を叫ぶという非日常っぷり。でも、悪の大魔王も秘密結社も登場はしない。そこにあるのは、非日常の能力を持ちながらも日常にあこがれる少女たちの日々の記録だ。

 森塚一乃は白崎宗司に異能の秘密を知られてしまう。秘密を守らせるため、二人だけの同好会を作った一乃は、二人だけで放課後を過ごす。ゲーム同好会といいながら、ゲームなんてほとんどしない。宗司の人の良さにつけ込んだ、一乃による宗司イジリが活動の実態だ。
 そんな二人だけの活動に、沢村キリカが入り込んできて、宗司に対する攻撃力は2倍強になるのだった。

 世に多くある、いわゆる日常系の物語は、一見すると日常の学校活動を描いているように思えるけれど、少年キャラが多くの美少女キャラに囲まれていたりして、有り得ない状況になっているのがほとんどだと思う。つまり、日常に対する男子の願望がこれでもかというほどに詰め込まれている。
 他方この作品は、普通の少年が美少女にもてるという意味では他の日常系と同じなのだが、原点として、非日常の運命を持った女子が普通の生活にあこがれるという部分に違いがある。どちらも現実から程遠い点では似ているのだが、後者の方が少女の動機として妥当性が感じられるかも知れない。

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葉村哲作品の書評