ありもしない希望にすがりたい気持ち

 無聊を託つ繭墨あざかと小田切勤の下に、他の異能力者から仕事の依頼が舞い込んでくる。自分たちの手には負えないと泣きついて来たのは、日傘と名乗る青年と、雁屋灯という影使いの少女。
 彼らの導くまま赴いた先には、白い肉の化物と、無くしたものを何としても取り戻そうとする人間たちの姿があった。
 またしても感じる狐面の影。そして今回は、彼も一人ではなかった。

 狐の甘言に縋るしかなかった人間たちが引き起こした現象と、その裏面にある二つの事件。そして、それを触媒として、最後の罠が発動する。
 今回登場した人々は、小田切の後悔と表裏一体の想いを抱えている。いまも直後悔し続ける小田切と、後悔を取り戻そうと、ありもしない希望に縋る人々。どちらの選択が正しいか、それとも他に正解があるのかは誰も知らない。

 新キャラクターとして繭墨の白バージョンが登場。水無瀬の面々も少しだけ再登場する。

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綾里けいし作品の書評