奇跡の均衡を崩すもの

 試験を受けるために特例として東北の大学に出向くことを許可された篤志と栞は、貞教と共に神と呼ばれる巨大変異種の棲む山に挑む。
 彼らの緊張感とは裏腹に、試験場に隣接したスキー場では、篤志の幼なじみの美幸や、同じ研究室の先輩菱緒とその天敵館森清香が訪れ、青春を謳歌していた。

 篤志の師匠である今泉の生徒であった大牟田などのまともな採取者と共に、利益優先のためにルールを無視する採取者たちが監督となっている冬季試験。多少のトラブルはあれども、若き候補生たちが切磋琢磨し、もうすぐ終了となるころ、とある人間たちの軽挙が神の逆鱗に触れ、平和なスキー場に阿鼻叫喚の嵐をうむ。
 そして同じ場所には、篤志を監視し何かを計画する掃除屋たちの姿があった。

 篤志たちの採取者パートと、菱緒たちのエンタメを考慮したようなパートが重なりながら物語は進む。
 前巻から突如現れた感のある館森と菱緒の夏に、どんな物語があったのかは知りたいところだ。でも、この作品のカップル未満は、どれも同じ様な気がする。

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白川敏行作品の書評