19世紀英国風ファンタジー

 19世紀のイギリスの様な舞台設定。煉獄と名付けた違う世界から様々な物質を引き出す煉術が発展しつつある世界。本来なら第一王女として表舞台に立てるはずだったアルテミシアは、その身の内に煉獄への扉を宿し、そこから染み出す毒気により周囲の生物をしに至らしめるため、その存在は隠され、地下での生活を強いられていた。
 そんな彼女の側にいるのは、身の回りの世話をするメイドのイオと、煉獄への完全な耐性を持つフォグという少年騎士のみ。アルテミシアとフォグの二人は、王宮付きの煉術師として、王と自分たちのの立場を守るため、様々な事件に駆り出される。

 一見するとアルテミシアの特異性に目がいくが、自分の毒が自分に害をなさないのはよく考えれば普通で、そうではないのに完全な耐性を持つフォグの方が不思議。この謎は、物語の進展を通じて解き明かされる。
 ヒロインを王女にすることで、物語の中心を煉術というファンタジー要素だけでなく、それを核とする政治にも関係することができるようにした感じがする。だから、技術を駆使した戦闘だけでなく、煉術というもの自体にもスポットライトがあてられるのだ。

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藤原祐作品の書評