後ろ向きな理由で突っ走る前向きさ

 佐品直純はある目的を持ってサキュバスの召喚に臨む。結果現れたのは、ロセリーというサキュバス正統派の貴族だった。ところが貴族ゆえにその力は普通のサキュバスの数百倍というもので、普通の人間が彼女に触れれば数秒で死んでしまうという。
 何とかロセリーに触れようと様々な策を練る直純だったが、彼には伏せている本来の目的が別にあった。

 ある意味前向きな願望で突っ走っているように見える直純だが、その実際の目的は非常に後ろ向き。そこを曖昧にしたまま終盤まで引っ張り続けるところはすごいかも知れない。
 その分、サキュバスの世界の対立があっさりしたまま終わったのは、続巻があるという事なのだろうか。

   bk1

   
   amazon

   

神秋昌史作品の書評