その気もないのに抜いちゃった

 超人的な体力を持つ姉タマキのおまけで、双子の弟ユウキは新大陸発見に赴く開拓船に乗り込むことになった。普通の人以下の体力しか持たないユウキだったが、出発前に立ち寄った王都で伝説の魔剣グラムを抜いてしまう。
 誰にも見つからずにグラムを開拓船に持ち込んだのは良かったが、おまけで乗った立場上、新大陸に一番乗りする捨て駒の役目をすることになり、いきなり緑竜に襲われて遭難してしまう。そんな彼を助けに、タマキや友人のアイたちが向かうのだが、その頃何故かユウキは現地住民に勇者として祭り上げられていた。

 ほんわかふんわりしたユウキと、彼を溺愛する姉タマキ、そして彼らの周りに集まるアイやリリアというどこか変なメンバーたちが繰り広げるギャグパートと、後半から始まる巻き込まれ勇者ストーリーから成る。やる気も実力もない子が運と剣の力で適当にこなす感じの展開になる雰囲気だったのだけれど、少し背景のある要素も含んだ物語になった。
 前半と後半では微妙に関係者の立場が入れ替わっているところが少し不思議。思いっきり続く形になっているので、そこでどう落とすかが楽しみな気がする。

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相磯巴作品の書評