友達の定義を考えたくなるかも

 高校の入学式当日に、沖田善一の鎖骨にドロップキックを決めた少女、明華武瑠は開口一番にこう言った。私の友達になってくれないか、と。普通ならばいきなり自分を骨折させるような暴力少女と友達になるはずもないのだが、あまりのかわいさに思わず首肯してしまった善一は、彼女と友達になってしまう。
 いきなり善一のアパートに車が突っ込むというアクシデントのせいもあって、武瑠と同じ部屋で生活することになった善一だが、第一印象の通り彼女の行動は突拍子もなく、彼女のきょうだいから依頼された、武瑠に友達を作るという目標の実現には困難がいっぱい。武瑠の唯一の弱点である食べ物に弱いというところを利用しつつ、何とかしようとするのだが…というお話。

 ヒロインにあるまじき言動をする武瑠をコントロールしつつ上手くやろうとするのだが、その善一自身も隙あらば妄想にふけるので、周りからは一歩引いて見られてしまう。そこを、空気読まずになじんでくるクラスメイトの白柳昴太が雰囲気を緩めつつ、ちょっとしたトラブルから武瑠が庇ってあげた伊波未実と少しずつ打ち解けていく。
 大体が妄想と下ネタという感じなのだが、友達というものに対する憧れみたいなものがあったり、教師という存在に対する理想みたいなものがあったり、真剣になる部分もある。
 終盤、武瑠が理不尽な暴力キャラからただのツンデレに移行しそうな雰囲気があるので、続編があるならば、その辺のバランスは取ってもらいたいなと思う。

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木野裕喜作品の書評