変態王家の血筋の犠牲者

 体力も剣技も未熟ながら根性は一人前の騎士見習いアッシュは、仕えるべき第一王女イリステラとその侍女ティリエルの秘密を知ってしまう。それは、お淑やかで慈悲深い、聖女とも讃えられる王女が実はドSであり、ティリエルが隠れMであること。その一部始終を見てしまったアッシュは、王国の未来を守るため、王女たちにもうそんなプレイはしないように諭す。
 これで王国の未来も安泰と思ったのも束の間、騎士叙勲を受けたアッシュは、騎士団長から呼び出しを受ける。その話の内容は、なんと未熟な彼を王女付きの騎士にしたいとの要望があったとのこと。しかし、未熟者を王女につけるにはいかないと、アッシュは騎士団長と勝負に勝たなければクビということになってしまう。
 責任を感じた王女は、侍女のティリエルにアッシュの稽古をつけてもらうことにするのだが、それは王女の嗜虐趣味に付き合う人生の始まりとなるのだった。

 とてつもなくバカらしい設定から始まるわけだが、それが最後まで貫かれているので、これはこれで面白い。特に、イリステラに虐められるのが好きなティリエルが、反面、アッシュには鬼教官として対し、それでいながら、王女にせめられて嫌がっているアッシュに嫉妬する二面性が良いと思う。
 唯一の良心ともいうべきアッシュが、未熟ながら必死に忠誠を尽くし、かつ虐められる様を笑いながら読んで欲しい。とにかくバカバカしい。

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鈴木鈴作品の書評