守りたい世界の違い

 墓守スカーと赤ちゃんのセリカを連れ、アイたちは死者の都オルタスの城を脱出する。世界を救うという夢を否定され、色々と学ばなければならないと自覚し始めたアイに、ユリーは学校へ行くことを勧める。
 アイの父である人食い玩具も通っていたという話を聞き、学校に興味を持つアイだったが、自分の夢を実現するためには立ち止まってはいられない!とばかりに、学校に行くつもりはなかった。しかし、突然現れた鬼教官風の教師に言い包められ、いつの間にやらユリーと分かれ宿舎の中にいた。
 学校にいたのは、自分と同年代の生者たち。初めて出会う存在に圧倒され恐怖すら抱くアイだったが、持ち前の負けん気を発揮して、徐々に自分の立ち位置を確立していく。だが、その学校は、普通とはかなり違っていた。

 初めて出会う同年代の子供たちが、自分とは違い周囲の状況に流されるまま、世界の崩壊を受け入れているように思えることに愕然とするアイ。しかし彼女たちの話を聞いていくうちに、彼女たちにも守りたい世界があるということを知る。それは自分とは大きさが違うだけだったのだ。
 そして、アイと同じ大きさで世界をとらえ救おうとする仲間たちとの出会い。これが彼女の今後の行動をどれだけ左右していくことだろう。

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入江君人作品の書評