成長が魅力を削ぐ残念さ

 三日月卿事件で帝都治安維持局鬼灯機関司令の桜下屍人に借りを作った病葉久郎は、異能力犯罪者を収監した怪賊城の掃除番にかり出される。そこで再会したのは、かつては鬼灯機関の一員でありながら、帝都を火災地獄に叩き込んだ犯罪者、墓場影郎だった。
 その直後に起こる、昏睡状態だった病葉夕日の失踪事件、そして連続放火事件。夕日を探しに行こうとした久郎の前に立ちふさがったのは、警察庁オカルト事件専門の千燈機関司令の雨宮くららだった。
 そして鬼灯機関に下される一時活動停止の決定。久郎は、屍人の秘書・常磐思夜の影ながらのサポートや、小箱小鳩の協力、釈迦堂こるりのサポートを受けながら、夕日探索を非合法に行うこととなる。千燈機関の妨害を排しながらたどり着いた先で知る、帝都を狙う秘密結社の存在とは。

 前巻に比べて呪術が飛躍的に進歩した病葉久郎が普通に活躍します。以前に比べると無茶苦茶感は少し減り、残虐さが加わって、荒唐無稽感が増した感じ。主人公が弱いけれど頑張るところが特徴的だったのに、中途半端に力をつけてしまうと、設定の特異性だけが目立つようになってしまった気がする。
 次巻は少年結社ウサギ団というのが敵として登場するみたいです。

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大谷久の書評