音を響かせる構成力と演出力

 18巻は雨宮修平の成長にスポットが当てられており、一ノ瀬海の活躍機会があまりなかったので、少し欲求不満に陥っていた。しかし今回は、それを取り返すかの様な、カイの演奏が力強く、そして情感豊かに奏でられる。
 コミックスの中から音を出すことはできないので、演奏の描写は構成力と演出力が全て。音は読者に想像で補ってもらい、演奏の世界観と演者の想いを表現する演出を行う。極端なことを言えば、音の想像などなくても良いし、想像だからこそ理想の音が出るともいえる。

 最後にファイナリストの発表がある。次巻ではどの様な展開となるのか楽しみだ。

ちなみに今回のカイの演奏は以下の通り:
マズルカ 作品50 第1曲 ト長調、第2曲 変イ長調、第3曲 嬰ハ短調
ポロネーズ第6番 変イ長調 作品53「英雄」
ピアノソナタ第3番 ロ短調 作品58

   bk1

   
   amazon

   

一色まこと作品の書評