革命部の戦いの舞台は世界へ

 不良債権を抱えて破綻寸前の日本商業銀行を買収し、現頭取を留任させて一歩引いた所から経営するはずが、春日恒太が暴走して頭取に就任してしまう。身内を守るため引くに引けなくなった羽月莉音と巳継は、実務を折原沙織に委ねて不良債権の実情を詳しく調査することにする。その結果、不良債権の背景には裏社会の人間が関わっていることが明らかになり、またもや一触即発の状況が訪れてしまう。

 そして革命部の舞台は巨大マーケットの中国へ。低金利社会において稀に見る高金利の日本商業銀行の融資先を作るため、投資銀行業務にも範囲を広げた革命部は、アクアス絡みの案件で中国へと降りたつ。一見、順調に進んでいるように思えたビジネスだったが、実は中国という国が抱える巨大なカントリーリスク、共産党による独裁支配が彼らの前に立ちふさがる。
 真面目に日本商業銀行改め国際商業銀行は破綻の大ピンチ。土地鑑のない中国という場所で、ピンチを切り抜ける起死回生の一手を繰り出すことができるのか?解決は6巻に続きます。

 今回は前半も銀行業務や監督官庁である金融庁の話題も含めて、十分面白かったのだけれど、後半の中国編はもっと面白い。特に、戦後の中国史を辿るところは良い。やはり中国で仕事をするには、中国のことをよく知っておく必要があるのだろう。

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至道流星作品の書評