深まる関係、失われる関係

 今回は次への展開を含めた番外編という位置づけになっているようだ。丹羽真の妄想エピソード短編が6本と、青春女(初心者)の日常を描いた短編で構成されている。

 妄想話の方は、もしも○○と付き合っていたら、という設定で、複数のエンディングが用意されている。「Ending No.4 丹羽さん」は前川さん、「Ending No.3 幸せのはんぶんこ」はリュウシさん、「Ending No.2 宇宙人の見守る町、の地球人」はエリオを選ぶ。
 「Bad Ending No.1 電波男」はマコトをある出来事が襲う話。「Ending No.2559 宇宙服は蚕の夢を見る」は数百年後の話。「Ending No.5 女々たんと一緒」はオチる話。
 そして現実に戻って来たマコトと、エリオ・前川さん・リュウシさんでカラオケに行く、「Chapter 7 せーしゅん女(初心者)の休日」という構成になっている。

 モテモテ主人公がヒロインの誰かを選ぶ未来は、可能性の縮退なのか、あるいは堅実な幸福なのか。もしかすると悪夢かもしれない。でも今はまだそんな段階ではない。全ての可能性を保っておきたいというのが、偽らざる本音なのだろう。
 だがそれもいつまで続くのか。新しい波乱の種が蒔かれそうだ。

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入間人間作品の書評