自分に出来ることを利用して、自分には出来ないことも実現する

 アメリカのホテルで研修中の涼子は、コンシェルジュとして自分の進むべき道を見出す。

 全ての人がデキる誰かと同じ様に出来る訳ではない。ある意味では哀しい現実の中で、涼子が見出したのは、自分にできないことはできる人にお願いする。そしてそのためにはデキる人と個人的なつながりを作るということだった。
 自分が持っているものを鍵として、自分が持っていないものを持っている人とつながる。それは最上の持っている手帳が象徴する機能と本質的には同じことだろう。

 他人にやさしくする。それが正しいことだと知っていても、その心理的障壁の高さは意外に高い。だから、誰かにもらった恩を別の誰かに返す。そんなスキームで心理的障壁を低くし、他人に優しくしやすくする理由を与えてくれるのが、この本ではコンシェルジュという存在なのだ。
 また新しいキャラクターがたくさん登場するのだけれど、これで最終巻。この物語はどこかに続くのかな?

 最後に起きる奇跡が最も大きい奇跡だ。

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いしぜきひでゆき作品の書評