いつまでたっても完成はしない

 アンコールも含めて本当に最終巻。
 オペラに初挑戦の千秋は、エリーゼに突っ込まれたヨーロッパの仕事もあり、なかなか練習に専念できない。しかもメンバーは個性的すぎる面々で、どんどん変な方向に突っ走ってしまい、崩壊寸前。そんなところで、演出家・峰が繰り出した魔法の鈴の正体は?

 音楽で生活の糧を得ている人たちの影には、プロの道を断念した人たちがいっぱいいる。諦めるときにはずっと続けていこうと本気で思っていた人も、就職して日々の忙しさに流されれば、言い訳ばかりをいっぱい見つけてしまい、いつしか本当にやめてしまう。
 そんな中で自分を貫き通すことができた人は、やっぱり実力だってあるだろうし、逆にプロに刺激を与えることもあるかもしれない。

 みんないろんな道を選択し、これからも彼らの音楽の道は続いていく。そしてその道では、誰かを見て落ち込んだり、逆に励まされたりもするのだろう。そんな感想を持つ最終巻でした。

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二ノ宮知子作品の書評