先の長い人生の、はじめての大きな転機

 柴村仁「×××さんの場合」紅玉いづき「2Bの黒髪」橋本紡「十九になるわたしたちへ」綾崎隼「向日葵ラプソディ」入間人間「19歳だった」の、いずれも19歳を主人公とした短編集。
 個人的な好みでいうと「×××さんの場合」「2Bの黒髪」が良かった。前者は19歳の女性とそれを取り巻く人間模様を様々な視点で描いているのだが、オチがブラックでゾクッとした。まさか募金活動を持って来るなんて…。後者は追い込まれる中で少しでも這い出ようとして、Webマンガで表現していく姿にリアルを感じた。
 「十九になるわたしたちへ」はむしろ叔父さんが主役の様な気もする。だから年長者から見た19歳という感じなのだけれど、テーマとは関係なく上手いと思う。「向日葵ラプソディ」は19歳の理由があまり感じられなかったが、短編でおさめるのはもったいない気がする。

 作品を並べると色々と浮き彫りになることがありすぎて、かなり危険な企画だと思う。

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橋本紡作品の書評