図書の未来を守るため悩む若者たち(評価:☆☆☆☆☆)

 前巻(図書館戦争)よりはバトルシーンが減っているけれど、物語的にはパワーアップ。前巻で伏線が引かれた郁と両親との確執、堂上への秘めたる恋心。それに加えて今回は、小牧や手塚、柴崎などの脇を固める面々にも、バッチリとスポットライトが当たる。
 架空の世界とはいえ、図書館のあり方について真剣に考え、それぞれの人生を織り成していく人々がとても魅力的に見える。柴崎が悩む他人との距離感、小牧と毬江の微妙な関係、手塚と兄の感情的確執…。これだけ色々ストーリーを盛り込んだら発散してもおかしくないのに、それぞれのストーリーが絡み合いながら、最終的には柴崎を軸にして収束していくところがニクい。
 物語は手塚兄の爆弾発言で次巻へと続く。あまりに露骨な引きに続編が楽しみでしょうがない。…とりあえず、出版される作中小説でも読んで待つとしよう。

 実は読みながら、各所で出てくる豆知識風の発言に一人ニンマリしていた。どこかで聞いたような話だなと思ったら、やはり巻末に参考文献として一冊の本が載っていた。自分が読んだ本が元ネタとして使われていると、何か嬉しい。

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有川浩作品の書評