閉じられた世界に開いた窓

 この世にあらざるべき力を読み手に与える幻の本、幻書。この幻書を保管する役目を持つ伝説の図書館、ダンダリアンの書架を管理する黒衣の少女ダリアンと、その鍵守を務める青年ヒューイの活躍を描く作品。第1巻と同様に1話完結形式で物語は進んでいく。「荊姫」「月下美人」「恋人たち」「等価の書」「胎児の書」が"ザ・スニーカー"掲載分で、「必勝法」「ラジエルの書架」が書き下ろし。
 力を人に与えてしまう幻書の存在が罪なのか、力に魅せられ扱いを誤ってしまう人間に罪があるのか。様々な力を持つ幻書と、その幻書に選ばれた、あるいは選ばれたい人々のストーリーが展開されています。

 個人的には、ダリアンの言動をヒューイが上手くあしらえる様になったため、物語のテンポが良くなっている気がする。また、幻書にまつわるシリアス系の話と、カミラの登場するほんわか系の話がバランス良く配置されているので、その落差によってダリアンの心情が上手く表現されている気がする。ヒューイに関するストーリーや、幻書の成り立ちや書架の秘密なども織り込まれて、物語に深みが増してきたようにも思う。Extra Episodeで語られる物語と、ヒューイ達の物語が、これからリンクすることがあるのかないのかは依然不明のまま。まだまだ物語の世界は広がりを見せてくれそう。

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三雲岳斗作品の書評