枷から解き放たれる

 表紙が上巻と似た構図なのだけれど、鎖の部分の違いが下巻の内容を象徴的に表している気がする。ただ、性格的には皇女の方がこの構図に似合うけれど、そこまで誘導したのはヤエトだった気がしなくもない。もっとも、彼の性格的には、鎖をちぎるというような積極的活動はしなさそうだから、これが正しいのかもしれない。

 療養と情報収集のため帝都に遣わされたヤエトは、第三皇子の屋敷に逗留することになるのだが、どんな猜疑を招いたのか、半ば軟禁状態となってしまう。皇女の伝達官とも連絡が取れなくなり、恩寵の力によって皇女に迫る危機を知ったヤエトは、屋敷からの脱出を目論むのだが…。
 相変わらず、発熱したり倒れたり、病弱さにかけては人後に落ちない主人公なのだけれど、今回も結構無茶をします。そして明らかになる、北嶺の地に秘められた神との契約の内容とは?

 北嶺にいる人たちを差し置いて、皇妹の騎士団長ジェイサルドが大活躍します。

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妹尾ゆふ子作品の書評