安らぎのとき

 サルベーンと共にザカールの外の世界へ旅立ったラクリゼは、サルベーンの勧めに従って傭兵王ホルセーゼの下を目指すことにする。しかし、ザカールにいた時と保護者と被保護者の立場が入れ替わり、プライドを傷つけられたと感じたラクリゼは、サルベーンと喧嘩別れすることになる。
 烈火のごとく怒り気ままに力を振るい優越感に浸っていたラクリゼだが、一人さまよい歩く森の果てで湖の女王に琥珀の指輪を取り上げられてしまい、女神の恩恵を全て失う。そんな時、猟師のアデルカと出会い、彼と彼の家族の保護を受けることになる。

 剣の振るい方しか知らなかったわがままお嬢様が世間の常識と生活スキルを身につけていく。そしてついに訪れる二人の再会。そこにあるのは感動か、悲劇か。
 ザカールのお話にも拘らず、本編に感じる宗教色が一番薄いような気がする。後には超人的活躍をするラクリゼが、最も安らいで生活できていた時期なのかもしれない。

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須賀しのぶ作品の書評