極限状況で現れる本質

 傭兵たちが不在の隙をついて襲撃を受けたホルセーゼの村では、村を守る女たちが白刃の下に倒れていく。阿鼻叫喚の嵐の中で、ラクリゼはザカリア女神との契約によりザカールの力を取り戻す代わりに、腹の中の子を失う。
 ラクリゼの奮闘によって全滅を免れたものの、家族を失った悲しみに暮れるホルセーゼは、サルベーンに傭兵団を任せ、半ば引退生活を送ることになる。それから数年後、現役復帰したホルセーゼと傭兵団は、滅亡の足音が聞こえるギウタの地に来ていた。

 ラクリゼが女神の力を取り戻した頃によって、サルベーンとの蜜月は終わりを告げ、二人の間には溝ができ始める。結局彼らの関係は女神という存在を抜きに語れないのかと思うと少し哀しい。
 本編との関係で言うと、幼少のエディアルドが少し登場し、その出生の秘密が明かされたりもする。あとはもちろん、カリエとラクリゼの出会いも描かれる。
 最後のアデルカの人知れぬ貢献は、サルベーンの行動との対比で見ると際立つ。

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須賀しのぶ作品の書評