それでもぼくらは生きていく

 天音櫛秋良は白髪の容貌の17歳、高校二年生だ。両親を相次いで亡くし、自身も一度死んだ身であるせいかは分からないが、学校に行っても授業にはほとんど出ず、大概は屋上で過ごしている。そんな彼によく関わってくるのは、不良として孤立し同じ屋上によくいる皇楼院藍と、担任教師であり隣家に住む幼なじみでもある悠錐在歌くらいだ。
 一度死んだのになぜ秋良が生きているか。それは死にそうになっているところをある悪魔に助けられたからだ。そのおかげで雷哮神龍という眷属として転生した彼は、その恩に報いるため、依頼を受けて事件を解決する。今回の事件は、秋良たちの住む街で起きている超能力事件だった。
 火葬ライブ、超級ダイブ、歪曲アート、肉体ロストと名付けられた事件の現場を調査しているところで出会う、事件の容疑者と、そいつを殺そうとしている殺人鬼、全無壊世という16歳の少女。血縁に依らない殺人鬼の一族であるというその少女と協力関係を築くことになった秋良は、事件の影にダストアウトという麻薬の製造者が関与していることを知るのだった。

 殺人衝動だったり、雷化だったり、自然発火だったり、自分ではどうしようもない何かに規定されていると感じている少年少女が出会い、それぞれに影響を与えていく。自分の故郷を持たない人たちが、自分たちの家を、集う場所を見つけていくようにも思える。
 一部設定はどこかで見たことがある気がするが、バイオレンス風ラブコメという感じの作品です。あと、変に難しい言葉は使おうとしなくても良いかも。

   bk1

   
   amazon

   

伊上円作品の書評