それぞれ違う目指すべき場所

 幽幻種の培養について統政庁が隠す秘密を派遣するため、統政庁が本拠をかまえる浮遊島に出向くことになった巫女ユミィと随員の護衛を務めるシェルティスたちだったが、両者の会談は遅々として進まない。同行した錬護士筆頭イシュタルは、事態を打開するために、統政庁の最奥部に保管されているという、全てを見通す秘宝・ミクヴァの緋眼へのアクセスを試みることを提案する。
 その提案を受けたユミィは、決死の潜入となる人員を選び命令することをしなければならないのだが、犠牲になるかもしれない任務を誰かに託すことに逡巡してしまう。そんなとき、彼女の側に立つことができるのは…。

 開始当初から前作『黄昏色の詠使い』との関連性が匂わされていたが、ますますそれがはっきりしてきたように思う。直接的に関係しているかは分からないけれど、何かはありそう。
 今回は、錬護士筆頭という千年獅を目指せる地位にありながら、あえて今の地位に留まっているイシュタルが目指すものが明らかになる。シェルティスにしても他の千年獅にしても、地位が欲しくて戦っているようには見えないので、根源的にはイシュタルが戦う理由と同じものを抱えているのかもしれない。

 またまた色々と世界の秘密がほのめかされ、6巻へと続いていきます。

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細音啓作品の書評